この記事でわかること

  • レビー小体型認知症(DLB)に特有のBPSDの種類と特徴
  • 幻視に対する具体的な対応方法と環境調整
  • パーキンソニズムがある利用者の日常ケアの注意点
  • 薬物感受性を踏まえた精神科医との連携の重要性

レビー小体型認知症の特徴

レビー小体型認知症(DLB: Dementia with Lewy Bodies)は、アルツハイマー型に次いで多い認知症の類型で、全認知症の約15~20%を占める。認知症グループホームでも一定数の利用者がこの類型に該当する。

DLBの大きな特徴は3つある。認知機能の変動(日や時間帯によって調子の波がある)、繰り返す幻視(具体的で生々しい視覚的な幻覚)、パーキンソニズム(動作緩慢、筋固縮、姿勢不安定)である。

これらの特徴は、アルツハイマー型認知症のBPSD対応とは異なるアプローチを必要とする。特に薬物への感受性が極めて高いという点は、ケアスタッフも理解しておくべき重要な特性である。

幻視への対応

幻視の特徴を理解する

DLBの幻視は非常に具体的で鮮明である。「部屋の隅に子どもが座っている」「ベッドの上に虫がいる」「知らない人が立っている」など、本人にとってはまぎれもなくそこに見えている。

アルツハイマー型認知症でも幻覚は出現するが、DLBの幻視はより詳細で、色や形がはっきりしている点が特徴的である。

対応の基本

幻視が出現した際の基本は、否定しないことである。「そんなものはいませんよ」という対応は、本人にとって「自分が見えているものを信じてもらえない」という体験となり、不安や不信感を増大させる。

「何が見えますか?」と穏やかに聞き、本人の体験を共有する姿勢が重要である。幻視の内容が恐怖を伴うものであれば、「大丈夫ですよ、私がいますから」と安心感を提供する。

幻視の内容が本人にとって不快でない場合(例えば、子どもが遊んでいるなど)は、無理に消そうとする必要はない。

環境調整による予防

DLBの幻視は、薄暗い環境や視覚的に紛らわしい環境で出現しやすい。以下の環境調整が有効である。

居室や廊下の照明を十分に明るくする。特に夕方以降の照度低下に注意する。壁の模様やカーテンの柄が顔や人の形に見えることがあるため、無地のものに変更する。鏡に映る自分の姿に驚くケースがあるため、必要に応じて鏡を覆う。夜間はフットライトを設置し、完全な暗闇を避ける。

パーキンソニズムへの日常ケア

転倒予防

DLBのパーキンソニズムにより、小刻み歩行、すくみ足、姿勢反射障害が出現する。転倒リスクはアルツハイマー型認知症よりも高い。

施設内の段差を解消し、廊下には手すりを設置する。すくみ足が出た際は、床にテープでラインを引く、足元に目標物を置くなどの視覚的な手がかりが歩行を再開させるきっかけになることがある。

食事介助の注意点

パーキンソニズムにより嚥下機能が低下している場合がある。食事中のむせや咳の頻度を観察し、必要に応じて食事形態の調整を行う。

また、DLBでは認知機能の変動があるため、調子の良い時間帯に食事をとれるよう、食事時間を柔軟に調整することも検討する。

起立性低血圧への対応

DLBでは自律神経障害を伴うことが多く、起立性低血圧による転倒リスクがある。ベッドから起き上がる際や椅子から立ち上がる際は、急に立たせず、段階的に体位を変えていく。

認知機能の変動への対応

DLBの特徴的な症状として、認知機能の日内変動がある。午前中は比較的しっかりしていた方が、午後になると混乱が強くなる、あるいはその逆というパターンが見られる。

スタッフはこの変動を「認知症が急に悪化した」と捉えるのではなく、DLBの特性として理解しておくことが大切である。

調子の良い時間帯を把握し、入浴や外出などの活動はその時間帯に合わせて設定する。調子の悪い時間帯は無理な活動を避け、安静に過ごせる環境を整える。

REM睡眠行動障害への対応

DLBでは、REM睡眠行動障害(RBD)を伴うことが多い。これは、夢の内容に合わせて実際に体が動いてしまう症状で、睡眠中に大声を出す、手足を振り回す、ベッドから転落するなどの行動が見られる。

ベッド柵の設置だけでなく、ベッドの高さを低くする、ベッドサイドにマットを敷くなどの転落対策が必要である。同室者がいる場合は、安全のために居室の配置を検討する必要がある場合もある。

RBDの症状が強い場合は、薬物療法(クロナゼパム少量投与など)が有効なことがある。精神科医への相談が望ましい。

薬物感受性と精神科医との連携

DLBケアにおいて最も注意すべき点の一つが、抗精神病薬への過敏性である。定型抗精神病薬を投与すると、重篤な錐体外路症状や悪性症候群を引き起こす危険がある。

非定型抗精神病薬であっても、DLBの方には少量から慎重に投与する必要がある。この判断は精神科医の専門的な知識と経験に基づいて行われるべきであり、介護現場だけで完結できるものではない。

Anchorの精神科オンライン診療では、DLBの薬物療法に精通した精神科医が、施設の看護職員と連携しながら処方調整を行っている。薬物感受性の高いDLBでは、少量からの慎重な投与開始と、こまめな経過観察が不可欠である。オンライン診療であれば通院の負担なく、必要に応じて週単位での診察も可能となる。

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