年末年始は職員の帰省や家族行事の希望が重なり、通常月より人員シフトの調整が難しくなる時期です。加えて医療機関や訪問看護事業所、薬局など外部連携先の休診期間も重なるため、グループホームの夜間体制に空白が生じやすくなります。本記事では、年末年始のシフトを組む前に確認しておきたい3つの準備について、根拠となる法令や基準とあわせて整理します。
なぜ年末年始のシフト作成は早めに動く必要があるのか
年末年始は次の3つの要因が重なりやすい時期です。
- 職員の休暇希望が特定の日に集中する
- 残業時間が月末月初にまとめて発生しやすい
- 協力医療機関や訪問看護、調剤薬局が長期休診に入る
これらは個別には小さな問題でも、重なるとシフトの穴や法令違反のリスクにつながります。年末年始のシフトは遅くとも12月上旬には骨格を固め、下旬には最終確認まで終えておくことが望ましいといえます。
準備1 夜勤配置基準と36協定の再確認
認知症対応型共同生活介護の夜間及び深夜の勤務体制については、指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準において、1ユニットごとに夜間及び深夜の時間帯を通じて1以上の介護従業者または看護職員を配置することが求められています。年末年始に職員の休暇が重なり、この基準を下回る時間帯が生じないよう、まずは現行シフトで配置人数を日ごとに確認することが出発点になります。
あわせて確認したいのが時間外労働の上限です。労働基準法第36条に基づく時間外労働の上限規制では、原則として月45時間、年360時間までとされ、臨時的な特別の事情がある場合でも次の範囲内に収める必要があります。
- 年間の時間外労働は720時間以内
- 休日労働を含め単月100時間未満
- 複数月平均で80時間以内
- 月45時間を超える月は年6回まで
年末年始は残業が発生しやすい時期であるため、12月上旬の時点で該当職員が年間の特別条項の回数枠や単月の残り時間をどの程度使っているかを確認しておくと、年末にシフトを組み直す際の判断材料になります。
チェック項目は次のとおりです。
- 夜間及び深夜の時間帯に1ユニットあたり1以上の配置が全日程で確保できているか
- 36協定で定めた上限時間に対し、対象職員の残り枠を確認したか
- 特別条項の発動回数が年6回の枠内に収まっているか
準備2 年次有給休暇の取得状況とバックアップ要員の確保
労働基準法第39条第7項により、年10日以上の年次有給休暇が付与される職員については、基準日から1年以内に5日を取得させることが事業者の義務となっています。年末年始は休暇希望が集中する時期であるため、この義務を果たせているかどうかを事前に確認しておく必要があります。
確認の流れは次のとおりです。
- 対象職員ごとに基準日からの取得済み日数を一覧化する
- 5日に満たない職員を抽出する
- 年末年始の希望休と合わせて取得計画を調整する
- 休暇が重なる日のバックアップ要員をリストアップする
バックアップ要員については、常勤職員だけでなく非常勤職員や他事業所との応援体制もあわせて検討しておくと、急な欠員にも対応しやすくなります。特に夜勤帯は代替可能な職員が限られるため、年末年始に入る前の段階で夜勤対応可能な職員の人数と希望休の状況を突き合わせておくことが重要です。
チェック項目は次のとおりです。
- 年5日取得義務の対象者で未取得者がいないか
- 年末年始の希望休が特定の職員や日付に偏っていないか
- 夜勤対応可能な職員のうち、休暇取得者を除いた実働人数が基準を満たすか
- 欠員発生時の応援職員や非常勤職員の連絡先を更新しているか
準備3 緊急時連絡体制と外部連携先の休診情報の確認
年末年始は協力医療機関、訪問看護事業所、調剤薬局などが長期休診に入ることが一般的です。体調急変や事故発生時に通常の連絡先が機能しない事態を避けるため、休診期間と代替の連絡先を事前に把握しておく必要があります。
確認しておきたい項目は次のとおりです。
- 協力医療機関の休診期間とその間の対応窓口
- 訪問看護事業所のオンコール対応可否と連絡方法
- 調剤薬局の休業期間と緊急時の在庫薬の確認
- 救急搬送時の受け入れ可能な医療機関のリスト更新
- 管理者が不在の場合の意思決定代行者の明確化
これらの情報は職員全員が参照できる形で掲示または共有しておくことが望ましく、年末年始に入る直前の申し送りで必ず確認する項目として組み込むとよいでしょう。
年末年始シフト準備チェックリスト
| 確認項目 | 確認時期の目安 | 担当 |
|---|---|---|
| 夜間及び深夜の配置人数が基準を満たしているか | 12月上旬 | 管理者 |
| 36協定の上限枠と対象職員の残り時間 | 12月上旬 | 管理者 |
| 年5日取得義務の未取得者の洗い出し | 12月中旬 | 管理者 |
| 夜勤対応可能な職員とバックアップ要員の確保 | 12月中旬 | シフト担当者 |
| 協力医療機関・訪問看護・薬局の休診情報 | 12月下旬 | 管理者 |
| 緊急連絡体制の職員への周知 | 12月下旬 | 管理者 |
まとめ
年末年始の人員シフトは、夜勤配置基準と36協定の確認、年次有給休暇の取得状況とバックアップ要員の確保、外部連携先の休診情報と緊急連絡体制の整備という3つの準備を順序立てて進めることで、法令順守とケアの質を両立しやすくなります。12月上旬から下旬にかけて段階的に確認を進め、最終確定前に職員全員へ共有することが、年末年始の安定したシフト運用につながります。
出典
- 厚生労働省 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第34号)https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=418M60000100034
- 労働基準法第36条、時間外労働の上限規制 厚生労働省特設サイト https://www.mhlw.go.jp/hatarakikata/
- 労働基準法第39条第7項、年次有給休暇の時季指定義務 厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/general/seido/koyou/kyuuka/index.html