口腔・栄養スクリーニング加算とは何か
口腔・栄養スクリーニング加算は、入居者の口腔機能と栄養状態を定期的に評価し、必要な支援につなげるための加算です。令和6年度介護報酬改定で認知症対応型共同生活介護も算定対象に含まれるようになりました。
加算には2区分があります。
| 区分 | 単位数 | 算定条件 |
|---|---|---|
| 加算I | 20単位/回 | 口腔・栄養の両方をスクリーニング |
| 加算II | 5単位/回 | 口腔・栄養のいずれか一方のみ実施 |
いずれも6月に1回を上限に算定します。単位数だけを見ると小さな加算ですが、入居者30名規模のGHで年2回全員に算定した場合、加算Iだけで年間約24万円の収益になります(20単位×10円×2回×30名で試算)。地域単価により変動しますが、積み上げれば経営的にも無視できない金額です。
なぜ算定漏れ・返還が起きるのか
運営指導で指摘される主な原因は次の3つです。
- スクリーニング実施記録が様式不備で判定根拠が読み取れない
- 実施した情報が介護職や看護職、外部の管理栄養士・歯科医師に共有されていない
- 6月に1回のタイミング管理ができておらず、実施漏れや重複算定が発生する
いずれも「記録」と「連携」の仕組みが整っていないことが根本原因です。加算そのものの要件は難しくありませんが、日々の運用に落とし込む仕組みがないと継続的な算定は困難になります。
記録に最低限含めるべき5項目
記録様式を自作する場合、次の項目は必須で入れてください。
- 実施日と実施者(職種・氏名)
- 口腔スクリーニング結果(残存歯数、咀嚼・嚥下の状態、口腔清潔度など)
- 栄養スクリーニング結果(体重変化、BMI、食事摂取量、褥瘡の有無など)
- 判定区分(要注意・経過観察・問題なし等)
- 情報提供先と提供日(管理栄養士、歯科医師、主治医、家族など)
この5項目が揃っていれば、運営指導時に「実施の事実」と「連携の実績」の両方を説明できます。逆にどれか1つでも欠けると、加算算定の根拠として弱くなります。
多職種連携体制をどう作るか
記録があっても、共有されなければ加算の趣旨を満たしません。連携体制は次の3段階で整備すると運用しやすくなります。
第1段階 実施担当を決める
口腔スクリーニングは看護師または歯科衛生士、栄養スクリーニングは看護師または管理栄養士が担当するのが一般的です。GHに専門職がいない場合は、外部の歯科医師・管理栄養士と業務委託契約を結び、月1回程度の訪問または情報連携の枠組みを作ります。
第2段階 情報共有のフローを決める
スクリーニング結果は次の3方向に流すことを基本にします。
- 介護職員への共有(食事介助・口腔ケアの方法変更)
- 看護職員・嘱託医への共有(医療的対応の要否判断)
- 外部専門職への共有(歯科医師・管理栄養士からの助言取得)
共有の手段は紙の申し送りノートでも構いませんが、電子記録システムを使っている施設では、スクリーニング結果を入力すると自動的に関係職種に通知が飛ぶ設定にしておくと漏れが減ります。
第3段階 実施サイクルを管理する
6月に1回という頻度は、日常業務の中で忘れられがちです。入居者ごとの実施予定日を一覧化し、月次のミーティングで進捗を確認する仕組みを作ることをお勧めします。
| 管理項目 | 頻度 | 担当 |
|---|---|---|
| スクリーニング実施予定確認 | 月1回 | 管理者 |
| 記録様式の内容チェック | 実施都度 | 看護師または相談員 |
| 外部専門職との情報共有 | 実施都度 | 管理栄養士・歯科医師窓口担当 |
| 加算算定状況の確認 | 月1回 | 経理・請求担当 |
算定漏れ防止チェックリスト
次の項目を月次で確認してください。
- 全入居者の前回実施日から6月以内に次回予定が入っているか
- 記録様式に判定区分と実施者氏名の記載漏れがないか
- 外部専門職への情報提供日が記録に残っているか
- 加算Iと加算IIの算定区分が実施内容と一致しているか
- 家族への説明・同意記録が必要な場合に取得できているか
5項目すべてにチェックが入る状態を毎月維持できれば、運営指導での指摘リスクは大きく下がります。
口腔衛生管理体制加算・栄養管理体制加算との違い
混同されやすい加算に口腔衛生管理体制加算と栄養管理体制加算があります。これらは体制整備そのものを評価する加算で、個別のスクリーニング実施を評価する口腔・栄養スクリーニング加算とは性質が異なります。両方を算定する施設も多いため、記録様式は別立てにしつつ、情報共有のフローは一本化しておくと事務負担を抑えられます。
まとめ
口腔・栄養スクリーニング加算は単位数こそ小さいものの、記録の質と多職種連携の実効性が問われる加算です。実施記録に必須5項目を盛り込み、連携フローと実施サイクルの管理を仕組み化することで、算定漏れと運営指導での指摘の両方を防ぐことができます。まずは自施設の記録様式を見直すところから始めてみてください。
