この記事でわかること

  • D to P with N方式の精神科オンライン診療の仕組み
  • 認知症GHにおけるオンライン診療の導入手順
  • 診療の流れと看護職員の役割
  • オンライン診療がBPSD管理にもたらす効果

認知症GHが抱える精神科医療へのアクセス問題

認知症グループホームの利用者の多くは、何らかの精神科的な症状(BPSD、不眠、抑うつなど)を抱えている。しかし、精神科への通院は大きなハードルがある。

移動に伴う利用者の身体的・精神的負担が大きい。付き添いスタッフの確保が必要で、施設の人員体制を圧迫する。精神科の予約が取りにくく、症状が出てから受診まで数週間かかることがある。地方では近隣に精神科がないケースも少なくない。

これらの問題を解決する手段として、精神科オンライン診療の活用が広がっている。

D to P with Nとは

D to P with N(Doctor to Patient with Nurse)は、患者の傍に看護職員が同席した状態で、医師がオンラインで診療を行う形態である。

認知症GHにおけるD to P with Nでは、施設の看護職員が利用者の隣に座り、タブレット端末やパソコンの画面を通じて精神科医と接続する。医師は看護職員からの報告と利用者の観察に基づいて診察を行い、必要に応じて処方を行う。

この方式のメリットは、看護職員が日々の利用者の状態を詳細に報告できること、利用者が住み慣れた施設内でリラックスした状態で診察を受けられること、医師が施設でのケア状況を踏まえた判断ができることである。

導入手順

ステップ1:精神科医・医療機関の選定

オンライン診療に対応している精神科医療機関を探す。認知症のBPSD対応に経験のある精神科医であることが望ましい。

Anchorでは認知症GH向けに精神科オンライン診療サービスを提供しており、認知症の薬物療法に精通した精神科医が対応している。

ステップ2:通信環境の整備

安定したインターネット回線と、カメラ・マイク付きのタブレット端末またはパソコンを用意する。診療中にプライバシーが確保できる個室(相談室や空いている居室など)を確保する。

通信速度は上り・下りともに10Mbps以上が推奨される。Wi-Fi環境が不安定な場合は有線接続も検討する。

ステップ3:看護職員への教育

オンライン診療に同席する看護職員に対して、事前報告の方法(どの情報を医師に伝えるべきか)、診療中の補助(利用者の表情やバイタルサインの報告)、診療後のフォローアップの手順を教育する。

ステップ4:利用者・家族への説明と同意

オンライン診療を受ける利用者とその家族に対して、診療の方法、メリット・デメリット、プライバシー保護の方針を説明し、書面で同意を得る。

ステップ5:初回診療の実施

可能であれば初回は対面での診察を行い、利用者の状態を直接評価する。対面が難しい場合は、看護職員から詳細な情報提供を行った上でオンライン診療を開始する。

診療の流れ

診療前の準備

診療日の前日までに、看護職員が以下の情報を取りまとめる。前回診療以降のBPSD出現状況(頻度、内容、対応結果)、バイタルサインの推移、食事・睡眠・排泄の状況、服薬状況と副作用の有無、ケアスタッフからの報告や懸念事項。

診療中

看護職員が利用者の隣でタブレットを操作し、精神科医と接続する。医師は看護職員の報告を聞きつつ、画面越しに利用者の表情、態度、言動を観察する。

利用者に直接質問できる場合は、医師から利用者に話しかける。認知機能の低下により応答が難しい場合は、看護職員が代わりに状態を報告する。

医師は観察と報告に基づいて診断・評価を行い、処方の変更や非薬物的アプローチの助言を行う。

診療後のフォローアップ

処方変更があった場合は、変更内容をケアスタッフ全員に共有する。次回診療までの観察ポイント(薬の効果、副作用の兆候など)を明確にし、記録体制を整える。

オンライン診療がもたらす効果

BPSD対応の迅速化

従来は精神科への予約に数週間かかっていたが、オンライン診療であれば数日以内、場合によっては当日中の対応も可能になる。BPSDの急性増悪時に速やかに専門医の判断を仰げることは、利用者の症状改善とスタッフの安心感の両面で大きな価値がある。

向精神薬の適正管理

定期的なオンライン診療により、向精神薬の効果と副作用をこまめにモニタリングできる。不要になった薬の減薬や、副作用が出ている薬の変更を迅速に行えるため、多剤併用の防止にも寄与する。

通院負担の解消

利用者の通院に伴う身体的・精神的負担がなくなり、付き添いスタッフの業務負担も解消される。浮いた人員を施設内のケアに充てることができ、施設全体のケアの質向上につながる。

スタッフの教育効果

看護職員が精神科医の診察に同席することで、精神科医の視点や判断のプロセスを間接的に学ぶことができる。これはスタッフのスキルアップにつながり、日常のBPSD対応力の向上に寄与する。

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  • 認知症GH向け精神科オンライン診療 導入ガイド
  • BPSD対応マニュアル テンプレート
  • 加算算定チェックリスト

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