障害者GHと認知症GHは別の制度である

「GH」という略称は2つのサービスを指す。障害者グループホームは障害者総合支援法に基づく共同生活援助であり、認知症グループホームは介護保険法に基づく認知症対応型共同生活介護である。根拠法が違うため、算定できる加算も別系統になっている。

精神障害者地域移行特別加算や医療連携体制加算(Ⅶ)は、共同生活援助のほうに置かれているものである。

介護保険の認知症対応型共同生活介護に、これらの区分はない。障害福祉の加算表を認知症GHの資料に転記してしまうと、届け出ることも請求することもできない。

この記事は、認知症GHで精神科との連携を厚くするときに実在する加算だけを扱う。

認知症GHで精神科医療連携に効く加算

加算名単位数
医療連携体制加算(Ⅰ)イ57単位/日
医療連携体制加算(Ⅰ)ロ47単位/日
医療連携体制加算(Ⅰ)ハ37単位/日
医療連携体制加算(Ⅱ)5単位/日
協力医療機関連携加算 イ/ロ100単位/40単位(1月につき)
認知症専門ケア加算(Ⅰ)/(Ⅱ)3単位/4単位(1日につき)
認知症チームケア推進加算(Ⅰ)/(Ⅱ)150単位/120単位(1月につき)

医療連携体制加算(Ⅰ)のイ・ロ・ハは、看護師をどう確保しているかで分かれる。イは事業所の職員として看護師を常勤換算で1名以上配置、ロは看護職員を常勤換算で1名以上配置、ハは職員として、または病院、診療所若しくは訪問看護ステーションとの連携により看護師を1名以上確保、である。イ・ロ・ハはいずれか1つだけを算定し、(Ⅱ)は(Ⅰ)のいずれかを算定していることを前提に重ねて算定する。

いずれの区分でも、看護師による24時間連絡体制と、重度化した場合の対応に係る指針の整備・説明・同意が共通の要件になる。

年間の加算収入を計算する

定員18名が全員算定する前提で、1単位10円として計算する。単価は地域区分により異なるので、自施設の単価に置き換えること。

看護師を外部との連携で確保する組み方((Ⅰ)ハ)の場合

  • 医療連携体制加算(Ⅰ)ハ 37単位 × 10円 × 18名 × 365日 = 2,430,900円/年
  • 医療連携体制加算(Ⅱ) 5単位 × 10円 × 18名 × 365日 = 328,500円/年
  • 協力医療機関連携加算 イ 100単位 × 10円 × 18名 × 12月 = 216,000円/年
  • 認知症専門ケア加算(Ⅱ) 4単位 × 10円 × 18名 × 365日 = 262,800円/年
  • 合計 3,238,200円/年

看護師を職員として配置する組み方((Ⅰ)イ)に変えた場合

  • 医療連携体制加算(Ⅰ)イ 57単位 × 10円 × 18名 × 365日 = 3,744,900円/年
  • 上の(Ⅱ)・協力医療機関連携加算・認知症専門ケア加算(Ⅱ)を合算 807,300円/年
  • 合計 4,552,200円/年

差額は 4,552,200円 - 3,238,200円 = 1,314,000円/年である。看護師を常勤換算1名分確保する人件費がこの金額を下回るかどうかが、区分を上げるかどうかの分岐点になる。人件費は地域と雇用条件で大きく変わるため、自施設の見積りを入れて比べること。

認知症チームケア推進加算(Ⅰ)まで取れる場合は、150単位 × 10円 × 18名 × 12月 = 324,000円/年が上乗せになる。ただし対象者の要件と他の加算との併算定の可否は告示と解釈通知で確認する。

精神科訪問看護は収入の前提にできない

精神科訪問看護基本療養費は医療保険の給付である。告示第67号の区分番号01―2 注12により、認知症対応型共同生活介護の提供を受けている場合は原則として算定しないとされている。さらに令和6年3月27日の保医発0327第8号により、認知症が主傷病である患者は精神科訪問看護指示書が交付されていても算定できない。

精神科医療そのものは、協力医療機関や主治医による外来受診・往診という医療保険の枠組みで手当てする。介護報酬の側にあるのは、その医療につながる体制を評価する加算である。ここを取り違えたまま収支計画を立てると、見込んだ収入が入らない。

体制づくりで押さえる順番

  1. 現在どの区分を届け出ているかを確認する。区分の記号と単位数が現行の告示と一致しているかを見る
  2. 看護師の確保方法を決める。直接雇用か外部との連携かで区分と人件費が同時に動く
  3. 24時間連絡体制の記録様式を用意する。連絡日時、連絡者、報告内容、指示内容、その後の経過を残す
  4. 重度化した場合の対応に係る指針を整備し、入居時の説明と同意の記録を残す
  5. 協力医療機関との取決めを書面化し、精神科の相談先を明示しておく

まとめ

障害者GHと認知症GHは別制度であり、加算表を流用できない。認知症GHで精神科との連携を厚くするなら、医療連携体制加算、協力医療機関連携加算、認知症専門ケア加算、認知症チームケア推進加算の4つが軸になる。収入の側は告示の単位数から計算で確定できるので、そこに自施設の人件費の見積りを突き合わせて区分を決めること。精神科訪問看護を収入源として織り込まない点も、あわせて押さえておく。

出典