この記事でわかること
- 医療連携体制加算が令和6年4月に再編され、区分と単位数が変わったこと
- (Ⅰ)イ・ロ・ハの違いは「看護師を誰がどう確保するか」であること
- (Ⅱ)の受入要件にあたる医療的ケア11項目
- 自施設の定員で加算収入を計算する手順
現行の区分と単位数
認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)の医療連携体制加算は、令和6年度介護報酬改定で、看護体制の要件と医療的ケアが必要な者の受入要件を分けて評価する形に再編された。現行の区分と単位数は次のとおり(1日につき)。
| 区分 | 単位数 | 評価している内容 |
|---|---|---|
| (Ⅰ)イ | 57単位 | 事業所の職員として看護師を常勤換算で1名以上配置 |
| (Ⅰ)ロ | 47単位 | 事業所の職員として看護職員を常勤換算で1名以上配置 |
| (Ⅰ)ハ | 37単位 | 職員として、または病院・診療所・訪問看護ステーションとの連携により看護師を1名以上確保 |
| (Ⅱ) | 5単位 | 医療的ケアが必要な入居者の受入 |
(Ⅰ)のイ・ロ・ハは、いずれか1つだけを算定する。(Ⅱ)は(Ⅰ)のいずれかを算定していることが要件で、(Ⅰ)と重ねて算定できる。
令和6年3月までは(Ⅰ)39単位・(Ⅱ)49単位・(Ⅲ)59単位の3区分だった。この旧区分をそのまま載せている解説記事や社内資料が残っているため、単位数を引用するときは告示の現行条文にあたること。
区分を分ける看護体制要件
イ・ロ・ハを分けているのは、看護師をどう確保しているかである。
- (Ⅰ)イ 事業所の職員として看護師を常勤換算で1名以上配置していること
- (Ⅰ)ロ 事業所の職員として看護職員を常勤換算で1名以上配置していること
- (Ⅰ)ハ 事業所の職員として、または病院、診療所若しくは訪問看護ステーションとの連携により、看護師を1名以上確保していること
イは看護師に限られ、ロは准看護師を含む看護職員でよい。ハは自前の配置がなくても、外部との連携で看護師を確保していれば該当する。自施設がどの区分に当たるかは、雇用形態と資格をそのまま当てはめれば決まる。
イ・ロ・ハに共通する2つの要件
区分にかかわらず、次の2つは共通して満たす必要がある。
- 事業所の職員である看護師、または病院、診療所若しくは訪問看護ステーションの看護師との連携により、24時間連絡できる体制を確保していること
- 重度化した場合の対応に係る指針を定め、入居の際に利用者またはその家族等に対して指針の内容を説明し、同意を得ていること
重度化指針は、作って終わりではなく入居時の説明と同意まで含めて要件になっている。説明の記録と同意書の保管まで一続きで整えておく。
(Ⅱ)の受入要件:医療的ケア11項目
医療連携体制加算(Ⅱ)は、算定日が属する月の前3月間に、次のいずれかの状態にある入居者が1人以上いることが要件である。
- 喀痰吸引を実施している状態
- 呼吸障害等により人工呼吸器を使用している状態
- 中心静脈注射を実施している状態
- 人工腎臓を実施している状態
- 重篤な心機能障害、呼吸障害等により常時モニター測定を実施している状態
- 人工膀胱又は人工肛門の処置を実施している状態
- 経鼻胃管や胃瘻等の経腸栄養が行われている状態
- 褥瘡に対する治療を実施している状態
- 気管切開が行われている状態
- 留置カテーテルを使用している状態
- インスリン注射を実施している状態
該当する入居者の状態は、日々の記録で裏づけられる形にしておく。前3月間という期間の取り方も含めて、月ごとに確認する運用にするのが確実である。
加算収入の計算
定員18名が全員算定、1単位10円、30日で計算すると次のようになる。1単位あたりの単価は地域区分により異なるため、自施設の単価に置き換えて計算すること。
- (Ⅰ)イ 57単位 × 10円 = 570円/人・日 → 570円 × 18名 × 30日 = 307,800円/月
- (Ⅰ)ロ 47単位 × 10円 = 470円/人・日 → 470円 × 18名 × 30日 = 253,800円/月
- (Ⅰ)ハ 37単位 × 10円 = 370円/人・日 → 370円 × 18名 × 30日 = 199,800円/月
- (Ⅱ) 5単位 × 10円 = 50円/人・日 → 50円 × 18名 × 30日 = 27,000円/月
(Ⅰ)イと(Ⅰ)ハの差は1日20単位である。18名・30日では 20単位 × 10円 × 18名 × 30日 = 108,000円/月。看護師を直接雇用するか外部との連携で確保するかを決めるときは、この差額と実際の人件費を並べて比べることになる。
看護職員の確保と24時間連絡体制
直接雇用は区分が上がる一方、常勤の人件費が月10万円台の差額を上回ることがある。複数事業所を運営する法人なら、兼務で人件費を分散させる形が現実的である。
外部との連携で確保する場合は、定期訪問の頻度、緊急時の対応方法、夜間の連絡手段を契約書に明記しておく。オンコール用の携帯電話を持ち回りで所持する形が一般的で、連絡日時・連絡者・報告内容・指示内容・その後の経過を記録に残す。この記録は実地指導で確認される。
まとめ
医療連携体制加算は令和6年4月に再編され、現行は(Ⅰ)イ57単位・ロ47単位・ハ37単位と(Ⅱ)5単位である。(Ⅰ)の3区分は看護師の確保方法で分かれ、いずれか1つだけを算定する。旧区分の39単位・49単位・59単位は現存しないため、資料を引き継ぐときは必ず現行の告示で確かめること。
出典
- 指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年3月14日厚生労働省告示第126号) https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82aa7862&dataType=0&pageNo=2
- 厚生労働大臣が定める施設基準(平成27年3月23日厚生労働省告示第96号)第三十四号 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82ab4585
- 令和6年度介護報酬改定における改定事項について(厚生労働省老健局)1.(3)⑭ https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001230329.pdf
