この記事でわかること

  • 認知症専門ケア加算I・IIの算定要件の違い
  • 取得に必要な研修の種類と受講方法
  • 算定に向けた体制整備の具体的手順
  • 実地指導でよくある指摘事項とその対策

認知症専門ケア加算の概要

認知症専門ケア加算は、認知症の方に対して専門的なケアを提供する体制を評価する加算である。認知症グループホームを含む多くの介護サービスで算定可能であり、加算I(3単位/日)と加算II(4単位/日)の2段階が設定されている。

認知症GHでは利用者全員が認知症の診断を受けているため、要件を満たせば全利用者分の加算を算定できる。1ユニット9名のGHで加算Iを算定した場合、月額で約8,100円(9名 x 3単位 x 30日 x 10円)の収入増となる。2ユニットであればその倍である。

2024年の報酬改定でも加算の枠組みは維持されており、2026年現在も認知症GHの経営改善に直結する重要な加算の一つである。

加算Iの算定要件

利用者要件

認知症日常生活自立度III以上に該当する利用者が、入居者全体の50%以上であること。認知症GHの場合、多くの施設でこの要件は満たしている。

人員配置要件

認知症介護実践リーダー研修を修了した者を、認知症日常生活自立度III以上の利用者が20名未満の場合は1名以上配置すること。20名以上の場合は、10名または端数を増すごとに1名を加えた数以上を配置する。

この配置は常勤である必要はないが、当該施設において認知症ケアに従事する者であることが求められる。

運営要件

認知症ケアに関するカンファレンスを定期的に実施し、その内容を記録として残すこと。具体的な頻度は明示されていないが、少なくとも月1回以上の実施が望ましいとされている。

認知症介護実践リーダー研修修了者が中心となり、施設全体の認知症ケアの質の向上を図る取り組みを行っていること。

加算IIの算定要件

加算IIは、加算Iの要件をすべて満たした上で、さらに以下の要件が追加される。

認知症介護指導者養成研修を修了した者を1名以上配置すること。この修了者は、加算Iで求められる認知症介護実践リーダー研修修了者とは別に配置する必要がある。

施設全体の認知症ケアの質の向上を図るための研修計画を作成し、計画に基づく研修を実施していること。

必要な研修の体系

認知症介護基礎研修

すべての介護職員に義務化されている研修である。eラーニングで受講可能で、計6時間程度のカリキュラムとなっている。認知症専門ケア加算の直接的な要件ではないが、施設全体の基盤として全員が修了しておくべきものである。

認知症介護実践者研修

都道府県が実施する研修で、講義と演習で構成される。期間は6日間程度。認知症介護の実践的な知識と技術を習得する内容で、現場での経験が2年以上ある者が対象となる。

認知症介護実践リーダー研修

認知症介護実践者研修修了後、1年以上の実務経験を経て受講できる。期間は約10日間。チームにおけるリーダーとして、認知症ケアの質の向上を図る能力を養う。加算Iの算定に必要な研修である。

認知症介護指導者養成研修

認知症介護実践リーダー研修修了後に受講できる上位研修である。期間は約4週間と長期にわたる。地域における認知症介護の指導者を養成する内容で、加算IIの算定に必要な研修である。

算定に向けた体制整備の手順

ステップ1:現状の把握

まず、施設の利用者の認知症日常生活自立度を確認し、III以上の割合を算出する。次に、施設職員の研修修了状況を一覧にまとめる。

ステップ2:研修受講計画の策定

加算Iの取得を目指す場合、認知症介護実践リーダー研修の修了者が不足していれば、受講計画を策定する。都道府県の研修日程を確認し、受講者を選定する。

研修には勤務扱いとするか、受講費用の負担をどうするかなど、施設としての支援体制を明確にしておく。

ステップ3:カンファレンス体制の構築

月1回以上の認知症ケアカンファレンスを定期開催する体制を整える。カンファレンスでは、個別の利用者のBPSD対応、ケアプランの見直し、研修の伝達講習などを議題とする。

議事録のフォーマットを作成し、参加者、議題、検討内容、決定事項を記録する。

ステップ4:届出と算定開始

体制が整ったら、介護給付費算定に係る体制等に関する届出を保険者(市区町村)に提出する。届出が受理された翌月から算定を開始できる。

実地指導での指摘事項と対策

よくある指摘

カンファレンスの記録が不十分(日時、参加者、内容の記載漏れ)という指摘が最も多い。形式的なカンファレンスではなく、実質的な認知症ケアの検討が行われていることを記録で証明する必要がある。

認知症介護実践リーダー研修修了者が退職した後、後任が確保できていないまま算定を継続しているケースも指摘される。人事異動や退職のリスクを見据え、複数名の研修修了者を確保しておくことが望ましい。

対策

カンファレンス記録のテンプレートを標準化し、記入漏れを防ぐ。研修修了者のバックアップ要員を計画的に育成する。年に1回は自主的に算定要件の充足状況をチェックする体制を設ける。

加算取得と精神科医療連携の相乗効果

認知症専門ケア加算の取得は、施設全体の認知症ケアの質を底上げする取り組みである。質の高いケアを提供する体制が整えば、精神科医との連携もより効果的になる。

カンファレンスで蓄積したBPSDの記録やケアの工夫は、精神科医に相談する際の貴重な情報源となる。Anchorの精神科オンライン診療を活用すれば、カンファレンスの内容を踏まえた専門的な助言を受けることもできる。加算の取得と外部専門家との連携を両輪で進めることが、認知症GHの経営安定とケアの質向上を両立させるポイントである。

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